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べんとう屋のつぶやき

 








 「お疲れ様でした~」
今日は一人でのグラビア撮影。
カット の声が掛かりセットから立ち去ろうと足を踏み出す。
「つっ・・・」
殆ど完治した筈の右足に痛みが走る。
「またや・・」
一人の仕事の時に限って思い出したように疼く。
二人での仕事・・・・そう「堂本兄弟」の収録では走ったり
相方とふざけ合ったりしても痛む事は無い。
近ずいてくるマネに気取られぬ様顰めた顔を元に戻し
スタジオから控室へと出て行く。
「どうした?まだ足痛むことある?」
「いや、もう大丈夫っすよ」
思わず引きずってしまいそうになる足に気合を入れて
気取られぬ様にする。
 互いのソロ活動が終わって、二人一緒の仕事が
増えるわけでもなく、いつもの様に殆どが人一人で
レギュラーの仕事のみ、顔を合わせる事ができる。
剛はコンの準備で忙しかった夏を取り戻す様に
友達と釣三昧の日々を送っている。

「そういえば・・ラジオで、釣いこうなぁ・・って言ってたっけ
その後、ちぃーとも声かけてくれんねん、なんや、むかつくわ」
一人、部屋に戻ってソファの上に丸くなると
ラジオの収録でさんざん誘っときながら
一向に声を掛けて来ない相方に寂しさが募っていく。
といっても、
「行きたない!車が錆びる、めんどっくさい!!」
っていってもうたからな・・
もっと強引に誘ってくれたら、いくかもしれへんのに
やっぱ、いきたないのかな・・

まだ、小さく疼いてる右足を抱えて薄暗くなってゆく 部屋を見ている。
ガチャリ・・
オートロックの筈の玄関が開く。
自分の中に沈んでいた意識が引き戻される。
「ダレやねん!」
リビングの入り口には、クーラーボックスを抱えた相方の姿。
「ごめっ、遅くなってもうたわ。イカ釣ってきたで~一緒に食べよ、な」
「つっ、・・イカやなくて『タコ』にせんかい、ボケッ!!」
日に焼けて男らしさが増した相方の顔をみたとたん、
足の疼きはどことなく消えていった。




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